理事長所信
Policy

未来への架け橋

はじめに

40年に満たない私の人生の中でも多くの挑戦をしてきました。
結果は決して全てが最善であったわけではありませんでしたが、どんな結果であれ次に活かすべく前向きに捉えて歩んできました。新たな挑戦のお声がけをいただいた時には感謝し、「まずやってみる」ということを大切にしてきました。
「まずやってみる」時に、自分のためではなく誰かのためになる、ということが私にとって非常に大きな原動力の一つです。私を頼りにしてくれているからこそ、本気で頑張ることができるのです。誰かのためにやっていると思っていることであっても、実際は全て自身の成長に繋がっています。そこには必ず新しい出会いがあり、ご縁が繋がり、ありがたいことにさらなる機会に恵まれてきました。
必要としていただけること、気付きや学びの機会に巡り合えたことへの感謝を常に心に留め置きつつ、40歳までというJCの限りある1年を進めてまいります。
JCは常に素晴らしい機会や出会いをいくつも用意してくれています。ただし、それらを経験や成長、ご縁に繋げていくのは全て自身の取り組み方次第です。皆さんの前には多くの機会が平等にあります。その機会を掴み、未来への可能性を見出し、挑戦して欲しいと願っています。

地域から求められる団体へ

JCI奈良はかねてから地域との結びつきにより、多くの伝統行事、地域事業に参画してきました。時代や状況の変化にともない地域との連携の方法も変わってきた今、その始まりを知っているメンバーは何人いるでしょうか。
歴史ある事業を今後も続けていくためには、その成り立ちや、行われる意義や想いがどんなものであったのかなどを理解しなければなりません。漫然と続けるのではなく、続けていく意義を理解し、伝統行事を安定的に次代に継承していく、そんな素晴らしい役割の一翼を担う組織として今後も能動的に参画していきたいと思います。
また近年、学校や企業からの依頼も多く受けるようになりました。これからはさらに私たち自身が地域のニーズに合わせた運動を提案し、新たな未来への繋がりを作っていくことも必要です。地域を支え、変革をもたらすことがJCI奈良にとって大切な役割の一つです。

2024年近畿地区大会奈良大会にむけて

2024年、JCI奈良は近畿地区大会という大舞台に挑戦します。
近畿地区大会では、「奈良」という地域の魅力を発信する絶好の機会となります。2023年の事業としては、実施年である2024年にすぐ始動できるように、その準備とし事業概要を検討します。
JCI奈良は、2013年の全国大会奈良大会を最後に大規模な大会の主管の経験がありません。
全国大会経験者である現役メンバーも数少なくなった今、多くのメンバーが近畿地区大会の主管という壁の高さに期待と不安を感じているのではないでしょうか。不安を取り除くには、まずは多くを知ることです。そして知ったうえで最適な運動の進め方を私たちの手で会得できたその先には、メンバーの大きな成長が必ずあると信じています。

これまで私たちが行ってきた様々な運動には意義があります。近畿地区大会の主管についてもその意義を知れば「主管しなければならない」のではなく「主管できる機会を得た」と理解できるはずです。近畿地区大会の成功への鍵は組織の規模ではなく、メンバーの本気の志によると考えます。
世界遺産登録数全国1位の奈良県、その中でも1300年の歴史を誇る奈良市は「保存の天才」と言われ「持続可能なまち」を体現していると言っても過言ではありません。この奈良の地で、近畿地区全体が一丸となって世界に誇る各地の魅力を磨き上げ発信することは、地域の活性化と市民意識の変革など社会にポジティブな変化を巻き起こすと同時に、JCI奈良だけでなく同じ状況にある近畿地区内の少人数の青年会議所が新たな可能性を見出し、運動意識のさらなる向上に繋げることができると確信しています。

子供たちの郷土愛を育む

「外で遊ぶよりゲームやSNSの方が楽しい」という子供たちが増えている、子供たちだけで外で遊べる場所が少なくなっている、という話を聞くことが多くなりました。
私たちが子供の頃とは環境が違うのでそのことを非難しようということではありません。人と交流しなくても一度に多くの情報が手に入る環境は知識としての学びには大きく役立ちますが、実際の体験から学ぶことについては少なくなっているのではないでしょうか。自分で物事を判断できるだけの経験がないまま様々な情報が入りすぎるため、正しい判断ができなくなる可能性もあります。
どんな時代であっても、人と人との繋がりなくして社会は形成できません。だからこそ子供たちには体験を通じた楽しい思い出や人とのふれあいが必要であり、メディア、スマホ、SNSなどで見るもの以上にワクワクするような体感があれば、子供たちの経験値が上がり、その一つひとつが糧となり自身を築いていくことに繋がると考えています。
私の子供の頃の思い出はいつも地域とともにありました。地域のお祭り、友達と遊んだ林や神社、通学路だった歴史ある町並み、夏は一面に広がる緑の田んぼに風が走るのを家のベランダから見ているのが大好きでした。その風景を守りたい、地域のために何か力になりたい、そんな思いが大人になってから自然と湧き上がってきました。これが郷土愛というものかと実感しています。
私は、将来地域を支えていく子供たちには郷土愛が必要だと考えています。このまちを、住み暮らす人を守りたい、ずっと先の未来に残していきたいという気持ちが強まるのではないかと思うからです。子供たちが将来、この地域に戻ってきたいと思えるようになるには、地域のことをよく知ることが大切ですが、知るより感じること、特に心が揺さぶられるような感動する体験が必要です。その内容は具体的に思い出せなくても「楽しかった」「すごく驚いた」などの感情は記憶に残るからです。
愛というのは知識ではなく、心です。心は動かされることで育まれ、人と人との繋がりや営みにより愛が醸成されます。つまり、地域で育ち、多くの人と様々な楽しい思い出を作ることは、郷土愛を育む要因となると思うのです。 

会員拡大

私たちの地域にはまだ出会っていない多くの青年がいます。JCI奈良の運動に魅力を感じ、共感してくれる青年はまだまだいるはずです。なぜなら、今いるメンバーもかつてはJCI奈良を知らない所から始まり、存在を知り、出会い、今一緒に頑張っているからです。
最盛期には約150人もの会員を擁したJCI奈良。この影響力を持って地域から期待されてきたからこそ、様々な団体との繋がりができ、地域と協力して力強く事業を行い受け継いできました。
近年、メンバー数が減少の一途を辿っていますが、一人ひとりが素晴らしい人柄と個性を持ち、心から地域のためを想い行動しています。私はこの仲間の強い志とアイデア、行動力によって必ず地域をより良くしていけると確信しています。そしてそんな仲間とともに新たなメンバーと一緒に地域に貢献できるならこんなに素敵なことはありません。
想像してみてください。そんな力ある青年たちがもっと多く集まれば、その実現へのスピードは加速し、可能性はどんどん広がっていくと思いませんか。

私たちが地域のために常に真剣に考え取り組んでいることを。
JCI奈良が地域の未来に夢を描ける場所であるということを。
そしてその夢をまだ見ぬあなたと実現していきたいということを。

JCI奈良の存在、JCの理念、様々な運動を周知し、メンバー全員の力を結集して会員拡大を行いましょう。それが、次世代に引き継いでいく私たちの責任です。
会員拡大は、多種多様な考えや経験を持った青年同士の出会いを生み、JCI奈良の組織全体を活性化させ、さらに強固な組織へと進化し、これから先の未来を創ります。その結果、強く広い運動発信が可能となり、地域がJCI奈良の必要性を理解し、強い影響力を持つことが出来るのです。

アカデミーメンバーの育成

会員拡大を推し進めた先に重要であるのがアカデミーメンバーの育成です。
新しい風となり組織を活性化させてくれる存在であるアカデミーメンバーには、JC運動の楽しさを知ってもらいたいと思っています。
まずはできるだけ多くの事業に参加しメンバー同士の交流を大切にしてほしい、また参加して感じるJC運動やJCI奈良の魅力を他のメンバーや家族、知人にも伝えられるような人財となっていただきたいと願っています。
そのためにはJCの理念やJCI奈良の歴史などを伝えていく必要があります。JC運動の根幹となる部分を理解しておくことは、運動を活発に行う活力に繋がります。アカデミー年度は三信条である奉仕、修練、友情を学ぶ機会が多くあり、自身のJC生活の基盤となる非常に大切な一年です。翌年からはそれぞれが別々の委員会へ配属される単年度制の組織ですので、アカデミー年度に「どうして自分はJCをしているのか」という土台を固めることは重要です。
盤石な組織づくりの一翼を担う、そしてJCI奈良の未来を担うアカデミーメンバーの育成に力を入れましょう。

会員資質の向上と会員相互の理解

時代が変化し多様性が求められる現代において、私たちがより発展を遂げるためには組織の強化が必要です。組織とは人です。JCI奈良という組織をより強固なものにするには一人ひとりの成長が欠かせません。
一人ひとりが主体性や多様性を身につけ、地域を牽引することのできる「真のリーダー」を目指して研鑽を積み続けましょう。「青年が社会により良い変化をもたらすための発展と成長の機会を提供する」というJCの使命を通じてリーダーシップを発揮し、高い人間力を培っていただきたいと考えています。
「本気で思ったことは必ず出来る」と私は信じています。成功者とは、初めから成功しているのではなく「絶対に成功すると決め、成功するまでやり続けた人」のことです。まずは「出来る」と思うことが大切なのです。そしてやると決めた時、本気で方法を考えだすのです。ただし、この「思い」の強さというのは自分自身にしかコントロールできません。
限られた青年期の貴重な時間を、この一瞬が本当に大切であると思うならば、限界値を決めず何事にも本気で取り組んでください。
私が得たJCでの最大の財産は経験と仲間です。JCでなければ経験できなかったであろう事業への参加、構築、LOMの運営、それぞれに学びがあります。一人では困難なことも仲間が助けてくれます。そして仲間とともに乗り越えるからこそ、達成感と「楽しさ」を知ることができます。私は皆さんに「楽しさ」を存分に味わって欲しいと願っています。同時に、「楽しさ」の裏側には、必ず誰かの努力や苦悩があることを忘れてはなりません。それぞれがお互いを理解し、支え合い、助け合い、感謝し、恩返しができる仲間となりましょう。

創立65周年にむけて

JCI奈良は1959年9月3日に全国で171番目のLOMとして発足し、2023年に64周年を迎えます。これまで、地域を牽引する先輩諸兄を数多く輩出してきた事実は、JCI奈良の今までの運動が揺るぎない確かなものであることの証です。
2019年に創立60周年運動指針『NARA STAND UP ~個性を尊重した「まち」と「ひと」~』を打ち立て、運動を展開してまいりました。翌年世界が一変する状況となりましたが、個性と価値観を尊重した人財を奈良の文化とともに育み、「ひと」が「まち」で活躍できる持続可能な環境の確立こそが、私たちの掲げる明るい豊かな社会の実現に繋がる指針であることは変わっていません。
65周年の節目を迎えるにあたり、今一度私たちの運動の本質に目をむけ、これまでの運動の検証を行い、私たちが向かうべき方向性を定める中期ビジョンの策定に向けて地域の課題、JCI奈良の課題をメンバー全員で共有する必要があります。
さらに事業を通じて協働するステークホルダーの発見や、地域との連携強化を2023年に推進することで、実施年である2024年に地域と一体となった運動構築をより効果的に目指すための準備を進めてまいります。

未来へ

2023年の理事のうち約8割がJC歴5年以内のメンバーが担っています。これからもJCの本質を理解したうえで、スピードや質を落とさずに運動を行い続けるためには、早急に人財育成を行うことが求められています。
私たちの役割とは何だろうかとずっと考えていました。
一人のJAYCEEである私の答えは、今悩んでいる人、迷っている人、不安な思いをしている人に「私でも出来た」と伝え勇気を与えることではないか、と思っています。
2023年のJCI奈良の役割とは、メンバーの増強を実現し、これから先の未来のためにさらに組織力を高めることです。
たった一人の小さな一歩でも、動き出すことで自分の世界を広げ、ほんの少しでも社会に影響を与えることがあります。何時いかなる状況においても止まることのない私たちの一歩は、いずれ地域や人に大きな影響を与え「明るい豊かな社会の実現」に繋げることが出来ると確信しています。
JCI奈良にとって2024年は大きな役割が重なる重要な年です。メンバー全員が共通の大きな目標を持ち、大きく飛躍できる機会を得たということです。ただし、目標を達成し一回りも二回りも大きく成長するためには、私たちの志と行動なくしてその成功はあり得ません。2023年は、2024年、さらにその先の未来をも成功に導くいわば架け橋となる最重要な年であると私は考えています。
一人ひとりの力が必要です。メンバー全員で常に前へ進んでいきましょう。
どこまでも続く、幅広く強固な橋を架けるには、過去を知ること、他を知り繋がること、そして自分たちを信じ絶えず挑戦することです。
未来への架け橋となる一年を、多くの心強い仲間とともに。

一般社団法人奈良青年会議所
第64代理事長 宮下 苑子